「安心」するための公的サポート・自立支援医療と障害者手帳

初診後にご検討をいただきたい公的サポート申請作業があります。

  1. 自立支援医療
  2. 障害者手帳(申請は初診後6ヶ月の経過期間が必要)

これら2点を申請することです。

金銭的な手当を得るためではありません。
今回おすすめする目的は全く別のところにあります、「安心して治療する」ためです。

なお一番のご心配について最初に。

これらの手続きを申請しても勤務先に知られることは絶対にありません。ご自身が話したりしない限りは。実はその事例が多いこともご注意事項として併せて。

  1. 初診後にするべき公的手続きは将来への備えとして
    1. 「失業」・うつ病患者がもっとも恐れる将来
      1. 万が一の時のセーフティネットという「安心」により治療に専念することが目的
    2. 自立支援医療・月々の心療内科関連の医療費を抑える
    3. 障害者手帳(3級)・失職後に効果大
      1. 障害者手帳と自立支援医療を申請しても第三者はその事実を知ることができない
      2. うつ病そして公的サポートに申請したことがバレてしまう事例
  2. 自立支援医療は毎年更新
  3. 金銭メリットが全くない障害者手帳を取得する理由
    1. 3級障害者手帳は「万が一の備えがある」という安心感のため
      1. 毎日頭に浮かぶ「将来の不安」を和らげるため
      2. 公的サポートを恥じる必要はない・福祉の不正利用とは全く異なる
      3. 障害者手帳の申請方法について・自治体ごとに違うが概要は以下の通り
    2. 障害者年金等は支給されない
      1. 生活資金のサポートはない・3級を恥じることなく申請するべき理由
    3. 会社員向けのご注意・3級で認められる減税申請はしないほうがいい
      1. 源泉徴収の金額から総務部門にうつ病と知られてしまう
      2. 可能ならば「うつ病」は知られないほうがいい・無難な選択
  4. 3級障害者手帳は「働けなくなったとき」に効果を発揮する
    1. 失業保険の受給期間が長期になる
      1. うつ病に民間の保険はない・
      2. 3ヶ月で次の仕事を見つけることは難しい・療養期間が必要

初診後にするべき公的手続きは将来への備えとして

ひとことでいえば万が一将来さらに病状が悪化した場合に備えるため。
具体的には失業した時の対策であります。

理由は分かりませんが、この2つは医師からもあまり申請を勧められることのないサポートです。
しかしながらほぼ必須といえます。

「失業」・うつ病患者がもっとも恐れる将来

うつ病患者にとって大きな心配のひとつが「収入」です。失業する不安をかかえ実際にその可能性はあります。

そのための備えです。大きく3点の安心を得られます。

  1. 月々の心療内科関連の医療費に上限を設定し、医療費を(ある程度)節約できる
  2. 就労が続けられないほど悪化した際、企業の加入する健康保険組合による休職制度(傷病手当)を利用し治療に専念することができる可能性がある。
  3. 失職した場合の障害者枠による再就職や失業保険を需給する資格を得やすくする(確実ではない)

ご覧の通り直近で具体的に金銭が支給されることは全くありません。

万が一の時のセーフティネットという「安心」により治療に専念することが目的

強いていえば「自立支援医療」がそれにあたりますが、カウンセリングなどは対象外であることもありさしたる節約にはならない。
繰り返しますがそもそも現金を支給してくれるわけではない。

現時点の福祉制度においては、基本的にうつ病や心因性の病気ではよほど重症でない限り生活費を支給する事例はありません。

しかしこれらのサポートを申請し、その資格を持っているかどうかは休職・失業という事態に直面したとき大きく影響してきます。

「将来に向けたセーフティネットがある」

これは現在の治療において、心を落ち着かせるよりどころとなります。

なお自立支援医療は手続きに期間を要するため、初診後すぐのタイミングで申請をおすすめします
(障害医者手帳は初診6ヶ月経過後でないと申請不可)。

自立支援医療・月々の心療内科関連の医療費を抑える

自立支援医療の申請を行うことで心療内科系の医療費について上限(10%または5,000〜10,000円・自治体の定める規定により違いあり)以上は請求されなくなります。

この医療費上限には認定できる薬とそうでないものがあります。
またカウンセリングについては対象外となるものもありますが、少なくとも青天井で医療費が掛かるということはなくなります。

私はこの制度の存在自体を知らず(調べる気力がなかったこともありますが)、数年間にわたって1万円以上/月を払っていました。

心療内科を受診される方はほぼ皆さんが申請されます、安心して手続きを行ってください。

障害者手帳(3級)・失職後に効果大

後述のとおり直接的な金銭面での利点は皆無です。
ただ不幸にして失職した場合は、この手帳を取得していることで以下のサポートを受けられます(失業手当は要審査)。
逆にいえば手帳がないと行政も支援の認定ができない。

  • 障害者向け職業のあっせんならびに各種相談サポート
  • 失業手当の支給期間が延長される可能性(要審査)

上記につき取得の方法について注意点をご説明します。

障害者手帳と自立支援医療を申請しても第三者はその事実を知ることができない

なお冒頭申し上げましたが、一番ご不安を持たれやすい点について明確に致します。

障害者手帳(3級)と自立支援医療について

勤務先を含む第三者が申請した事実を知ることは不可能です。

興信所のような調査会社を使えばあるいは可能かもしれませんが、合法ないかなる手段を用いても知ることはできません。

もっといえば心療内科・メンタルクリニックに通院していることさえ第三者が知ることはできません。
ご自身が明らかにしない限り、家族でも知ることは難しい。

うつ病そして公的サポートに申請したことがバレてしまう事例

ただ他人に知られてしまう可能性があるとすれば以下です。

  • 自分から知人に病気について話す
  • 薬をそれとわかる状態で他人の前で服用する、またデスク上などに置いてしまう。
  • 障害者手帳を人に見せる、または(会社で)「人目につく場所にうっかり置いてしまう」か「落とす」
  • 減税の申請をしたことで課税額から総務部門に知られる

もしあなたがこの病気を他人に知られず治療したいと希望されておられるなら、どれもやるわけがないミスとお感じになると思います。

信じられないかもしれませんが、実際はかなり多い事例です。

病気についてオープンにするお気持ちであれば問題はありませんが、もし知られたくない場合はどうか上記については充分ご注意ください。手帳や書類の類は自宅保管が無難です。

自立支援医療は毎年更新

以下のうち診断書の発行は意外に手間取るので注意してください。

  • 有効期限は1年
  • 初診後ただちに申請可能
  • 居住する自治体の福祉課で受付。申請時は①マイナンバーカードまたは確認カード②保険証を窓口へ持参のこと。
  • 要診断書:少なくとも2〜3回目の受診時には申し出る。なお作成は最低でも2日は必要(費用はだいたい5,000円/1通)。
  • 承認・発行はおおむね1ヶ月程度、ただし申請日から承認までの医療費はさかのぼって再計算され、上限を超える金額は返金される場合もある。
  • 更新は毎年、都度診断書が必要。

金銭メリットが全くない障害者手帳を取得する理由

呼び名からして少々抵抗が大きいものです、私もためらいました(10年以上取りませんでした)。

3級障害者手帳は「万が一の備えがある」という安心感のため

簡単にメリットをいえば「万が一働けなくなったとき」の安心のため。

毎日頭に浮かぶ「将来の不安」を和らげるため

私たちうつ病患者や「うつ状態」に陥った人は常に不安にさいなまれます。極めて特殊な状況についても明日にも起こるかもしれないという恐怖に囚われる。これが毎日です。

そのとき

「仮に全てダメになってもセーフティネットの準備はある」

こう思えるからです。

公的サポートを恥じる必要はない・福祉の不正利用とは全く異なる

なおこの手帳について恥じる必要は全くありません。皮肉なことに鬱状態になりやすい人ほど「福祉のタダ乗り」「悪用」のように思い、恥じやすい。

より自信を無くされたりもします、私も相当悩みました。

この点は以下で詳しく述べますが、経験者として簡潔に結論を。

理由は簡単で、あなたが働いている限り3級の障害者手帳で受けられる福祉サポートはごくわずか。

金銭的なメリットは皆無といっていいからです。
福祉の不正利用などとは無縁・無関係です。

障害者手帳について興味本位で非難する人たちがいます、病気について無知な人々です。

しかもこんな酷い状態を「寝てお金がもらえてお得だ」と感じることが抑えられないのですから、その意味では本質的に遊んで暮らしたい人です。
ある意味「うつ病にかかりづらい性格」の人ともいえ、それはそれで幸せかもしれません。

そんな人たちの毀誉褒貶を気にする必要はありません。
ご経験されている通り、私たちが置かれた苦しさは「これで遊んで暮らせる」などと喜べるような甘いものではありません。実際に現金の支給などありません。

繰り返しますが

「日常の不安を和らげ治療に専念すること」そして「本当に働けなくなったとき回復に向けたサポートを受ける」

これらのためです。障害者手帳の申請方法、そして本質的・将来的なメリットについて後述します。

障害者手帳の申請方法について・自治体ごとに違うが概要は以下の通り

まず取得時の注意点を申し上げます。

何より大切なのは「受診後最短で取得すること」具体的には半年後です。

就労がままならなくなってから動いたのでは遅い

診断書が必要な点は自立支援医療と同じです。おそらく発行の費用は¥5,000前後です。

  • 有効期限は2年
  • 申請は心療内科の受診開始後から最短で6ヶ月後の日付より(それ以前の期間中は申請できない)。
  • 医師に対して3級で申請したい旨を告げ、診断書を発行してもらう。
  • 居住する自治体(区ないし市)の福祉課に申し込み。
    手続きには多少の違いはあるが、大部分は必要書類を窓口で確認し、受理。
  • 申請時は①マイナンバーカードまたは確認カード ②保険証を窓口へ持参のこと。
  • 承認・発行まではおおむね1.5ヶ月

特に障害者手帳は都道府県ごとで手続き内容に差があるため、通院が5ヶ月に至ったところで必ず自治体に直接問い合わせることをおすすめします(自治体のHP説明だけではわからない情報が必ずあります)。

繰り返しますが、必ず直接問い合わせてください。必ず親切に教えてくれます。

障害者年金等は支給されない

障害者手帳3級で得られる直接的な金銭的メリットはほぼありません。
診断書を発行してもらう費用(5,000円程度)を回収することすら難しいでしょう。

自治体により差がありますが、主なものは以下です。

  • 所得税で若干の控除(対象:25ー26万円/年)※これについては要注意です、後述します
  • 公共交通機関(ほぼバスのみ)の割引
  • 携帯電話料金の割引(数百円/月)
  • 公共施設(博物館等)の利用料割引

生活資金のサポートはない・3級を恥じることなく申請するべき理由

ときどき障害者手帳を持てば生活保護並みのサポートで遊んで暮らせると(生活保護に頼る暮らしとは大変厳しいものなのですが)誤解している人がいます。

そのために患者自身もこれを取得することでより惨めな気持ちになる人が居られる、といいますか大多数だと思います。

皮肉なことにうつ病になる人はそういう「ずるさ」「間違ったこと」に極めて敏感に反応する性格の方が多いのです。

できれば遊んで暮らしたいと思っている人は楽天的ゆえに健康。そして本当にサポートが必要な人は正しくありたいと思うあまり心身を病むということになる。

今気持ちが落ち込み混乱しています。しかし、どうか落ち着いてください。

上記のとおり3級では障害者年金のような手当はなく金銭的なメリットはありません(繰り返しますが減税分については後述)。

今はそう思えない状態です、しかし恥じたり落ち込む必要は全くないことにどうか気づいてください。

なお付け加えますと、本当に生活費のサポートを受けるような2級以上の認定を受けられる方は、私たちより更に苦しい心身の状態です。

その病状は本当に相当苦しいもので、経験者ならば生活保護よりも病状の回復を強く望むと思います。

誰の助けもなく独りで生きられる人などいません、そのための公的サポートなのです。

会社員向けのご注意・3級で認められる減税申請はしないほうがいい

ここで所得税の控除についてですが、会社に在籍中はなさらないことを強くおすすめします。

これは3級を取得する人にとってほぼ常識です。

源泉徴収の金額から総務部門にうつ病と知られてしまう

理由は源泉徴収票の金額から会社の総務部門ににうつ病と知られてしまうから
同年収の社員とは税額が異なるため注目され調べられます。

別に総務関連の方がうつ病を差別してチェックをしているのではありません。
年収が同じであるにもかかわらず税額が異なることから経理上のミスを疑い、原因を突き止めようとするからです。

可能ならば「うつ病」は知られないほうがいい・無難な選択

これは大きな、そして意見に個人差のある極めて大きなテーマなので今後おりにふれ書きますが、一般的にはうつ病であることを会社に知られないようにします。

これまで述べた通り私も知られないようにしてきました。たぶん無難な選択だと思います。

10年前と比べても社会での理解はだいぶ高まりました。しかし必要に迫られない限り公表はしないほうが得策です。

家族ならばまだしも他人は好奇の眼で見るだけですから。

3級障害者手帳は「働けなくなったとき」に効果を発揮する

是非はさておき、結論として所得税の控除も受けない場合、頻繁にバスにでも乗らない限りは実質金銭的なメリットはないもの。

多分取得・更新のために準備する診断書に支払う金額分の節約さえほとんどできないと思います。

失業保険の受給期間が長期になる

しかし、うつ病で仕事が継続できない、という事態になった場合状況は大きく変わります。
休職中または失業後の一定期間の安定を得る上で

  • 障害者手帳(3級)の認定を受けている
  • 自立支援医療の対象である

うつ病に民間の保険はない・

これらの有無は失業手当など公的な認定審査を受ける上でかなり変わってきます。
年齢や就業期間にもよりますが、長期、恐らく1年程度は受給できる。

その他の病気と違い、うつ病に民間の保険はありません。病気だからといって治療費を負担してくれる積み立てなどないのです。

すでにして私たちはうつ病にかかりました、できる対策は事前にすることで自分を守らねばなりません。
上記2件について、特に3級の障害者手帳は、その呼び名にひるむことなく申請をおすすめする理由です。

3ヶ月で次の仕事を見つけることは難しい・療養期間が必要

また仮にうつ病で会社を辞めざるを得ない場合、3ヶ月程度で次の職を見つけることはかなり難しい。

就労を断念するほどの病状である場合、療養だけで3ヶ月程度は必要だからです。

ほとんど想定できませんが、仮に3ヶ月で職を見つけたとしても療養期間なく仕事をすれば再度ダウンする可能性は高い。

ここは無理をしてはいけません、するべきでもないのです。
障害者手帳を取得していれば状況を変えることができる可能性が高い。

ここまで

「自立支援医療」そして「障害者手帳(3級)」についてご説明して参りました。
申請するべき公的サポートと重ねて申し上げます。

なお私も3級の手帳を保有していますが、割引サービスを受けたり税控除を行ったことはありません。
どころか10年以上取得をためらってきました。

自立支援医療すらこの病気にかかって、確か6年ほどしてからだったと思います。
存在も知らなかった。

手帳を会社に持っていってうっかり見られでもしたらそれこそ大問題です。

会社で落とす危険もあるので持ち歩かず自宅で保管しています。

会社に見せることがあるとすれば、それは辞めるかどうかの瀬戸際の時でしょう

ただ失職するかもしれないと不安にかられたとき、少なくとも

治療、そして転職活動に必要な最低限の期間を得られる可能性がある

そう思うと少し落ち着くのです。

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