これからどうすればいい・休みはじめましょう、ただし「すこしづつ」

初診後家に帰ってくると必ず思うことがあります、
これからどうすればいいのか。

治療が始まってから1ヶ月から3ヶ月目ぐらいまでのお話です。

先に結論を申し上げれば治療の効果は必ずあるものの、何より少しづつ「休みはじめていきましょう」ということ。

ここが本当に大事ですが「少しづつ」です。

私たちにとって休むことはとても難しいことだからです。

初診後はあせりと辛さを感じ、将来が不安になる

私自身、そしてこの病気になった人を実際に見て(ネットや本もここは同じでした)初診直後は以下のような気持ちでした。

  • 自分の具合はとても悪く治療が効くと思えない
  • この状態がずっと続くようにしか思えない
  • 今の治療でいいのかという不安とあせり

今落ち着いているからこそ言えるのですが、この3点に共通することは「心が休んでいない」こと。

初診は受けた、薬ももらった、その次は「少しづつ休みはじめる」こと

実はお医者様の問診やカウンセリングそして薬はとても大事なのですが同じか、それ以上に大事なことがあります。

今後治るスピードを決める大事な条件です。

それは「休みはじめる」こと

うつ状態になる方がそもそもとても苦手な作業です、特に初診後はきわめて難しい。

自覚はできませんが治療、特に薬が効きはじめているからこそいろいろ考えて不安になったと今振り返っています。

「本当に治るのか」と考えはじめたとき、薬は効きはじめている

私は初めて心療内科に行ったとき、もう将来のことすら考えられなくなっていました。

初診前は将来の不安すら考えられないほど苦しかった

とにかく今苦しい、理由もわからず。よく寝られず、朝起きると冷や汗や動悸。それが会社でも続く。

  • もちろん何も集中できない
  • 疲れているのに寝られない
  • 時間を問わず感じる猛烈な不安感

無論自分はどうなっているんだという不安は将来に直結するものですが、今が辛すぎて他が考えられなくなっていた。

それが(よいクリニックに巡り会えたということもありますが)初診後は自分でも気づかないうちに「これからどうなるんだろう」という考えに変わっていました。

これは知人の様子を見た時かつての自分について初めて気づくところでありました。

ひどく鈍い表情で苦しいと訴えていた人が、薬が入ったら泣いたり落ち込んだりという表現が出始めた。
私も同じだったと。

薬の効果がゆとりをもたらした・初めて将来の不安にとらわれた

私の場合、初診後も苦しさは続いていましたが、1週間ほど薬を服用し続けると少し薄らぎはじめました。

そこで少し、本当にほんのわずかですが自分のことを見るゆとりが出てきた、そうしたら気づいた。

  • 自分はベストには程遠い、おかしくなっている。
  • この状態は普通の病気とはまるで違うような気がする。
  • 今の治療でいいのか、もう治らないんじゃないか。
  • 仕事は続けられないんじゃないか

初診前は思いつかないほど分析的な感情です。

繰り返しますが薬が効きはじめたゆとりのために、初めて自分の状態を少しだけ大きく観るようになっていた。

これは次の点からも言えると思います。うつ病関連の本やネットの情報を見る量は初診前よりその後のほうが圧倒的に多いはず。

少なくとも私は初めて心療内科を受診する前、そのような気力すらありませんでした。
その代わり多少よくなり始めたらネットや本を読むようになった。

自覚は全くできないレベルですが、少しだけほんのわずか回復したのです。

それが今の状態や将来の不安を大きく感じることにつながっていました。

初診後は少しづつ「休みはじめる」ことを始めよう

これを回復と呼ぶべきなのかどうか、医師でない私には断定はできません。
ここは知りたくていろいろ本も読みましたが明らかに書いていない。

あらたな不安や焦りは薬が効きはじめた証拠でもある

はっきり申し上げられるのは「ともかくも薬は効きはじめた」ということ。
うつ状態はご自身では評価が難しい病気ですからおこがましいことを承知の上であえて申し上げます。

その上ではっきりおすすめするのは

「休みはじめる」ことに着手して下さい

ということです。

うつ病になる人は休むのが苦手

ここで「休みはじめる」という表現を使わせていただいていることはどうかご注意していただきたい。

恐らく私たちうつ病患者は休むのが下手だから。

いきなりはかなり無理があります、できないと思います。

いつも悩みややるべきこと、他人からどう思われるかを考えてしまう。

「考えても仕方ない、ここでいったん気持ちを切り替えよう」という作業は少なくとも私にとって相当に難しかった。

きちんとした専門家の本、あるいは実際の問診では必ず指摘されました、「まずはゆっくり休んで」。これがとても難しい。

うつ状態となった今、もっと難しくなっていると思います。少なくとも私はそうでした。

休むことを「少しづつはじめてみる」

数年経って良くなったり悪くなったりを繰り返してわかりました。

休むって難しい

だからお医者様のカウンセリングと薬の力を借りて少しづつはじめてみよう、と。

薬は大変有効です、これなしで「心を休め、不安を感じない状態」にもっていくことは困難だと思います。

この「少しづつ休みはじめてみる」とはいかなる作業か。

一番難しく個人差があることと思いますので今後も繰り返して経験したことを述べさせていただきたいと思いますが、一言で言えば

仕事やプライベートにある問題を考えない時間を少しづつ長くすること。

「完全に考えないようにすること」ではありません、それを言い出せば焦りしか残りません

仕事の人間関係かもしれない、家族の問題かもしれない、お若い方ならば学校や友人関係かもしれない、人さまざまです。

私たちには想像もつきませんが、自然に頭を切り替えられる人もいます。
今考えても仕方ないというものです、強い心の持ち主だと思います。

でも私にはできない、それだけ重く受け止めているのです。
だから「少しづつはじめてみよう」という表現を使いました。

私にはこの表現が一番合っています、すぐ気持ちを切り替えることができない性格ですから。

これも後々多く触れたいと思っていますが、医師が休みなさいという一方で長い昼寝は避けてと助言したり、少しよくなってきたら外を散歩して太陽にあたりなさいという理由でもあります。

深く眠ることももちろん大切ですが、「心を休めなさい」=問題を考えない時間を少しづつ長くしなさいといわれているのです。

繰り返しますが少しづつです。
もちろん次回の問診で「いろいろと考えてしまう、どうしたらいいか」という訴えはとてもいいものであると申し上げます。

『あせり』は禁物・少しづつが実は最短コース

なんとかしたい、うつ病もそもそも原因となる直面した問題も。
後から考えると個人的にはこの状態のときは相当に焦っていました、パニックに近かった。

せっかく治療で少しゆとりが出始めたのに、そのゆとりは悩んだり焦ったりすることに使われてどんどん消耗してしまう。
治療にはあまりよろしくありません。

「考えかたを変えればすぐ良くなる」「1ヶ月で治る」はただのビジネス・焦りをあおるだけ

少しづつです、うつ病の治療に焦りは禁物です。
本当によろしくない。

よく「考えかたを変えればすぐよくなる」「1ヶ月で治る」とか吹聴する本やウェブサイトもありますが、そういうものではない。
ああいったものは商売のためだけのものです。

身体に不調が出るほど思い詰めてしまうのがうつ病です、ひとの考えかたがそんな短期間でがらりと変えられるわけがない。
それなりの長い経験を経て得た考えかた、そのひとの人格をかたちづくっている大事な価値観だからです。

これは気休めではありません。
問題を常に意識していること、それ自体は短所とはいえないものです。

しかもうつ病とは別に現実の問題は残ったままの状態でもある。いきなり心を休めるなどできましょうか。

こんなことをいうのは私も、それこそわらにもすがる思いでそういう本やネットの情報を読んだからです。

効果はありませんでした
現実によくなった人も、少なくとも体験上は見たことがありません。

「少しづつ休む」はあるとき確実な回復をもたらします

もし(こういう表現は危険ですから出来るだけ慎重にご説明したいと思いますが)治療への最短コースなるものがあるとすれば、それは

少しづつ休みはじめよう、という気持ちに(少しづつ)変わっていくことだと思います。

繰り返しますが心を休ませることは難しい作業です、簡単にできない。だから少しづつなのです。

ひとつだけ確実に言えるのは最もハードルが高い「心療内科を受診する」という難関を超えたのです。これだけでも限界に近い作業のはず。少なくとも私はそうでした。

あとは少しづつです、14年経ったいま改善したときのことを振り返ると少しづつ休もうとしたことが一番確実に効果がありました。

治療しても効果が見えない場合・ほぼ「休めていない」

そうはいっても仕事・家庭・学校、いずれも耐え難かったりどうしても頭から離れない問題であると思います。私自身常にそういったものを抱えてきました。

少しづつ、すこしづつ休むやり方はその時々でも違います。
ただ全ての方に申し上げられるのは

短期間で、いっぺんに、全てを解決しようと思わないでください

ということ。病気が辛いほどそう思ってしまうのですがかえって焦りを招き「休みなさい」という助言さえも苦しくなってしまう。
私はそれで焦って数年を空費しました。

不幸にして治療の効果がなかなか上がらない方(私のある時期がまさにそうでしたが)は『休めない自分』に焦っていました。
どころかちょっとよくなるとそのゆとりを現実の問題解決に向けようとさえした。

その焦りが回復を長く妨げてきました。

少しづつです。
休むのではなく「休みはじめる」というゆっくりとしたスピードで。

そのためにお医者様もおられ薬もあります。とにかく不安を和らげ落ち着けるような薬があるのです。

繰り返しますが「心療内科を受診する」という大きな作業をなさったのです。

それだけでも快方に向かっていることをどうか理解してください、これは実体験です。

初診が終わってご自宅におられる今、少しづつ休みはじめていただけたら同病のものとしてとても嬉しいです。

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