誰もが心療内科の受診をためらいます、自分もそうでした。とても怖かった。
心を病んだと認めることだから、薬が怖いから。
そこからどんなふうに気持ちが変わったのか、私の経験です。
どんな人も最初は受診をためらい迷う
歯医者さんや外科・内科の病院に行くのとおなじ気持ちで心療内科を受診できる人は皆無だと思います。
本当に、ひとりもいないと断言できます。
1万人に1人ぐらいはそうでない方もおられるかもしれません、しかし一般性は皆無です。
1000人単位ぐらいでは皆相当な不安やショックを抱えつつも我慢できずに受診、が全てだと思います。
私自身の経験をつつまず言えば
- 心療内科に行く = 完全に精神を病んでいる
- 薬が怖い
- 自分のことをすべて他人に話さねばならない
こんなことを考えていました。
数日で受診を決めたのはもう迷っていられないほど苦しくなっていたからに過ぎません。
余力があれば数ヶ月は平気で引き伸ばしたでしょう。
これまで何度か触れたように、心療内科にはもっと早く行くべきだったと思っています。
また心は身体と同じぐらい深刻な病気になるものだということもわかりました。
ただ上記のとおり自分の場合、そしてうつ病になってから同じ病気になった人を注意して見る限り、心療内科へ対する心理的ハードルはかなり高い。
受診はためらわれます、結果としてけっこうひどい水準まで悪化してしまう例が相当に多いと思います。
すでにうつ病となったものとして言えば、心療内科に行くことは他の医者に行くのと同様です。恐れることも気にすることもありません。
むしろ行くことは極めて論理的・合理的な判断と思います。何より解決が早まる。
「眠れない」「集中できない」で受診していい
特に心理的な抵抗がある方へお伝えしたい、心療内科にはどんな状態で行くべきでしょうか。
- この数日混乱して集中できない
- この数日いろいろ考えてしまいよく寝られない
- この数日気持ちが沈んで身体がだるい
この段階でもう行くべきです、専門医の助けを仰ぐべき事態。といいますかこの状態は行くべきなのです。
数日なんて軽いようにみえますがそんなことは全くありません。
付け加えますと医師から「考えすぎだよ」といわれることは絶対にありません。
真剣に対処してくれます。
経験豊富な専門医はこの状態から重いレベルまで悪化するのにあまり時間がかからないことを知っています。
どの医者に行くべきか・心療内科と精神科のちがい
心療内科と精神科どちらを受診すべきか
この話の前に申し上げたいことがあります。
どちらを受診されても的確なケアを受けることができます。
もしご自身の症状と分野が合わなかったとしたらきちんと受診すべき分野を紹介してもらえます、恐らくはとりあえず数日の改善を期待できる抗不安薬とともに。
メンタルケアを必要としている状態は不安や混乱に極めて弱いことでもあります。どちらを選ぶかでお悩みになるのはやめるべきです。初動の早さこそ何にも優ります。
ではメンタルの不調をケアする医療機関にはどんな種類があるのか。
大きく分ければ精神科と心療内科です。
上記は医療機関としての分類というだけで基本は同じです。どちらも心の不調を治療する医療機関。
精神科が心からアプローチするのに対し、心療内科は身体にあらわれた不調をきっかけに診ることになっています。
しかし心の不調は必ず身体に現れます、最終的には治療は心と身体の両方をケアすることになります。
ただ「精神科」という言葉にネガティブなものを感じる人もいます。そのため随分前から
心療内科またはメンタルクリニック
といった名称が一般的になってきました。
どんな診療をするのか
いわゆる普通の病院とは違い全くなじみがないのが心療内科です。何をするところかわからないというのが正直な印象だと思います。
簡単にいえば
- 問診
- 投薬
この2つであります。心の不調は検査ではわからないため患者と対話することで病状を知りしかるべき治療をします。
問診は大変大事で、これを通じて病状の評価と経過観察そして患者へのアドバイスが行われます。
行ってみるとわかりますが待合室はいたって静かなものです。患者をリラックスさせるような落ち着いた雰囲気です。
なお来ている患者の皆さんもごく普通の方です、うつ病は知られている以上に普通の、そして広まっている病気であります。
私は人に隠して14年を経ていますが、他人にそれと気付かれたことはありません。
日常的に人と会う職業でもありましたから周りに言えばかなり驚くと思います。
しかし自分が特別とも思いません。外見や挙措動作からはわからない病気だからです。
薬はかならず指示通りのむ・副作用はない
治療のことは今後詳しく記したいと思っていますが、ここで明確に申し上げたいのは
- 薬は必ず効果がある
- 副作用は他の病気向けの薬と変わるところはなく、全く気にする必要はない
ということです。つまりうつ病の薬に害はないということを明確にお伝えしたい。
ご不安は理解できますが心配する必要はありません。
これもまた大いに経験したことですが、副作用を恐れて、あるいは早く治りたいがため自分の判断で薬の量を減らした場合、確実に悪化します。
ここは強調したい、悪化します。
うつ病には無責任な情報が多いのですが、本であれネットであれ
医師の指示にかまわず薬は減らしたほうがいい
悪くなるだけだから心療内科は行くべきではない
という情報は、ほぼ不安をあおるだけのものと思って頂いてよろしいと思います。
「おかしくなった」と悩む人の気持ちに付け込むたぐいの情報と思ってください。
処方薬を服用したら調子が悪くなったという人はいます、それは薬が合わないということ。
一般的な病気でもごく普通にある症例と同じです。
わかりやすくいえば薬が合わないということは胃腸炎や風邪などですらある。この場合は薬の種類を変えればよいとすぐ理解できます。
まさか薬を全て絶ったら病気まで良くなるとは思わないでしょう。
しかしうつ病の薬は、これは不安がそうさせるのですが、薬は全て身体に良くないものと感じてしまう。今の不調は薬によるものだと考えるようになる方も珍しくありません。
こういう心理状態のとき、薬の副作用に関する話や薬を全く使わない代替療法のような情報は極めて有益と受け取られやすい。
うつ病について薬無しで病状が改善することはありません。
現実には医師の処方とは別に自己判断で薬の量を変える人は相当に多いです、私もやりました。
ここは今後も実体験をご紹介することで繰り返しますが、医師の処方と関係なく薬の量を減らすと確実に全てが悪化します。
心療内科に関してひとつ申し上げますとアメリカではちょっと気分がすぐれないという理由でセラピストに行くことは至って普通です。
心理学もハイレベルな学位と捉えられておりますし、彼の地は競争が激しいぶん早くからそういう常識が生まれているようです。
落ち着いて論理的に考えたらむやみと気分がすぐれない、気持ちが落ち込む状態は他の病気と同じぐらい誰にでも起こるごく普通のこととわかります。
もし違うところがあるとすれば、初動の遅れが私のように10年以上も長引くような結果を招くこともあるということ。
一般的な病気で10年以上治療が続くというのは慢性病でもかなり重い部類です。
それだけ注意して対処しなければならない事態だとしみじみ思っています。
少しでも異常を感じたら早く受診してほしい、そう思っております。