初期のうつ病と夜・初診後はまず睡眠障害への対応から

うつ病になって最初に問題を強く感じる時間帯は夜だと思います。
具体的には正常に睡眠がとれなくなる。

この時間帯の自分の気持ちが変化していることを最初に実感されるはず。
夜の状態が日中の生活や仕事の全てに少しづつ大きな影響を与え、治療の妨げになります。

うつ病、あるいはうつ状態(抑うつ)においてもっともご注意を頂きたいと思い、何回かに分けて記したいと思います。

夜はうつ病の弊害がもっとも現れる時間

うつ病患者にとっての夜は、直接には「睡眠障害」というかたちで現れて生活に影響します。

不安からくる不眠・浅い眠り・そして過眠

寝られない
寝てもぐっすり寝られない。
悪夢を見たり、またひんぱんに目覚める

またあまり一般的に知られていない障害に「過眠」があります。
つまり長時間寝てしまうことです。むろん夢つきでうなされている不快な眠りです。

睡眠障害は少しづつ生活を壊す

うつ病でなくとも不規則な生活によって睡眠障害は起こります。
もたらす重大な病気として糖尿病・心筋梗塞・狭心症・高血圧などの生活習慣病があげられています。

ただうつ病の場合は少し状況が違います。

確かにいずれは上記のような、あるいは似た病気を招くことがある。
実際にうつ病患者でストレスから糖尿病などの合併症を起こして苦しむ人も多い。

しかし病気になる前に生活自体が壊れます。

『不眠』の問題はうつ病治療の大きな障害となること

不眠だからといって完全に寝ない状態を続けることはできません。
「不眠」といわれますが、実際にはどこかで眠ってはいる。

しかしそのリズム・周期はどんどん狂っていきます。
これが治療をさまたげ少しづつ生活を壊していく。

生活のリズムか崩れ「休めなくなっていく」

不安な状態でも、あるいは朝に比べて少し元気であっても同じです。夜きちんと寝られないという状態が続くとどうなるのか。

いずれ昼夜が逆転します、そして仕事や生活全般に差し支えるほどに影響が大きくなる。

うつ病についてはさまざまな治療法が研究されており、医師の具体的な対処はさまざま。
私はあくまで患者であり、治療について専門的に学んだわけではありません。

ただどの治療にも共通していることは「休養」、まず心を休めること。
心理的ストレスとは反対の状態にもっていこうとします。これは間違いありません。

不眠はその基本とは正反対、眠れないことが心理的なストレスの強度を上げる。

日常生活が混乱するため、治療に必要な「休む」という状態を作り出すことが少しづつできなくなっていきます。

自分自身の実感としても、夜寝られない、または睡眠のサイクルが狂ってしまうという状態がこんなにも日常生活に影響するとは今でも信じられないほどです。

寝られない時は「不安なことばかりを考える」

多分ほぼ全ての患者がそうだと思いますが、寝られない夜というものは「不安なこと」「よくないことが起こるという恐怖」ばかりが頭をよぎります。

結論や解決策も思いつかないまま長い夜が過ぎる。

実は健康な人であっても夜考えるという作業は前向き・建設的な発想を考えづらいそうです。

うつ病において睡眠導入剤や抗不安薬が処方される理由のひとつでもあります。
医師は「とにかくまずぐっすり寝て心を休めて欲しい」そう考えているのです。

睡眠障害は判断力がとても低下する・

不眠の状態が続くと日中はどうなるのか

私生活でもぼーっとした状態が続く。仕事も集中できません。
うつ病の薬の中には眠気をもよおすものが多いのですが実は不眠の害はその比ではありません。

患者はなんとか生活を取り戻そうと必死になります。
しかし寝ていない」という状況は意志力では補えない。


人間が寝ない状態を続けることは、たとえ数日間でも生理的に不可能だそうです。

この状態で夜になると更に不安がつのる。

日中の不調と夜の不眠、このサイクルが仕事や生活のすべてを台無しにしていく。

「少しづつ休む」なんてとてもできません、生活が壊れていくのですから。

睡眠障害は初期のうつ病治療で一番注意して取り組むべき

前置きが長くなったのはうつ病の治療初期は患者にとって初めての体験ばかりで何をしていいのか混乱するばかりだからです。

『夜、寝られるようになること』こそ回復へ向けて前進すること

不安で、悲しく、将来もなんの希望も無いとしか思えない状態

特に初診期は合理的な説明や分析を受け入れられない

うつ病の一歩前である「抑うつ状態」の時点でもうこれです。こういう状態ではどんなに論理的・合理的な説明をしても受け付けません。

特に初診から治療が始まって日が浅い状態では生活や意識を変えるなどほぼ無理です。

不安・悲しみを和らげるにはどうすればいいのか。
快方にむかう具体的な方法は、まず以下しかありません。

心はヘトヘトの状態・まず医薬の力に頼るのが最善

正常な眠りを取り戻すこと

これをメインの目標とすることは、多くのかたに共通する回復へのアプローチになると思います。

疲労しきった、悲しさや不安・焦りでへとへとになった心は眠ることで少しづつ快方に向かいます。

具体的にどのようなことをするか、努力することは何もありません。
以下の2点から始めてください。

  1. 医師に寝られないことについて思いつく限りを強く訴える。感情的でいい。
  2. 「眠りに関する処方薬」を指示通りのやり方で残さず服用する

患者として、そして同じ病気の人を見た経験から効果的な方法はこの2つです。
というよりこの2つしか方法はありません。

「今の眠り」「夜の気持ち」について医師にできるだけ感情のままに伝える

医師との会話についてもう少し。

睡眠の状況について医師に詳しく状況を説明する

繰り返しますがこれは現時点でとても難しい。
そもそもうつ病患者にとっては、問診時に自分の状態を論理的に説明をするということが難しいのです。

この点はうつ病の治療における大きな問題でありますので今後おりにふれて書かせていただきますが、繰り返しますといわゆる「説明」は無理です。

  • 夜の気持ち
  • 寝られるか寝られないのか
  • どんな不安・悲しみ・焦り・絶望を感じているのか

    この3点を感情のままに話してください、論理的な説明はいりません
    泣いてもいいです、大声でもかまわない。

その点について心配は要りません、心療内科の医師は慣れています。
ただ、診療を受けるたびに必ず話してください。

『こんなことを医師に話していいのか』は不要・初診からしばらくの間は思いつくままに

ここは重要ですから繰り返します、診療を受けるたびに必ず「今の眠り」「夜の気持ち」について話してください

以前ご説明したとおり心療内科の「検査」とは問診、つまり会話です。あなたが話さないことは医師も対処できません。

よく聞くお話に「こんなことを先生に話していいんだろうか」「何を話せばいいんだろう」というものがあります。

なんでもいい、感じるままに。
「不安で悲しくて寝られない」これで充分です。苦しんでいますからあとは止めようがないほど言葉が溢れてきます。

逆にいえば思いつくまま話すだけでいい、特に初診からしばらくの間は眠りだけでなく全てにおいてそうです。
スマートな説明などいらないのです。

最も効果的な対処法は処方薬を指示通り服用すること

特に睡眠関連の薬は患者が服用したがらない。
もっとはっきりいえば嫌がります。

『睡眠改善』の薬は絶対に自己判断で減量しないで

私自身そうでした、「睡眠薬」「眠り薬」という語感は大変にネガティブです。しかも患者の心境としては少しでもネガティブなものに大きな不安を感じる状態です。

断薬、減量をしやすい理由・眠れたかどうかは自分でもわかるから

少し改善してくると自己判断で真っ先に量を減らそうとする薬であります。

うつ病の症状と違い、寝られるかそれとも寝られないかは自分でもある程度自覚できる状態です。
それだけに少しでも夜寝られるようになると薬をやめたくなる

回復してきたように思えるため、薬は逆に身体に悪いように思えるのです。

自己判断の断薬や薬の減量は間違いなくうつ病の長期化を招く

結論を申しますとその判断は完全に間違いです、また悪化します。
その時点では薬の量を減じられるほど回復していません。

実際に自分のことを治療してくれている医師の指示と関係なく薬の量を変えたり、ましてや服用をやめて改善することは絶対にありません。

自己判断での断薬や薬の減量をする人は、ほぼ例外なく長期にわたってうつ病が続く人です。
恥ずかしながらかくいう私がそうです。

医師が処方する量・頻度には膨大な臨床データにもとづく理論的な裏付けがあります。

私が医師の指示に完璧に従うことを強くお勧めし、特に薬に関しては繰り返して自己判断による減量・断薬をお止めするのは、専門家の指示を外れた処置で改善することなどないからです。

初診期の最も効果的な治療は「まず眠りを取り戻す」こと

最初に書かせていただいたとおりうつ病の特に初期は生活上どのように対処してよいかわからず途方に暮れます

もし実際の生活で方針に迷われたら、まず「眠りを取り戻す」ところから始めることは必ず何らかの効果があります。

そしてその方法とは

医師に睡眠の状況について話すこと

そして処方された薬は指示通りすべて服用すること。

まず緊急度の高い、「とにかくどうすればいいか」という点について書きました。

  • 睡眠障害のとき現実に起きること
  • それに対してとった処置の経験とその結果

については次回改めまして。

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